「社会福祉法人制度改革の施行に向けた全国担当者説明会資料」が
厚生労働省ホームページで公表されています。


この資料では、会計監査人監査に係るスケジュール例で
社会福祉法人が会計監査人を導入するまでの流れが示されております。

ここでも示されているとおり、会計監査は、会計監査人候補者を選定したからといって、直ちに実施できる業務ではありません。通常のスケジュールを理解した上で、十分な時間的余裕をもった会計監査人導入のスケジュールを組むことをお勧めします。

社会福祉法人 会計監査人監査に係るスケジュール例

(厚生労働省 資料より引用)

この中で、「予備調査」というものがありますが、これは監査契約締結前に会計監査人候補者が必ず実施しないといけない手続です。

監査契約が締結されると会計監査人は職責を果たさなければなりません。
この予備調査とは、社会福祉法人が会計監査人の職責を果たせるような状況にあるかどうか
(監査を受けることができる体制にあるかどうか)をチェックする手続です。
会社が監査に協力する体制があるかどうか、内部統制が構築されているかどうか、などをチェックし、
その結果をもとに会計監査人候補者は、
監査契約を締結できるかどうか、どれくらいの作業工数を要し監査報酬はどのくらいになるか、を判断します。

わかりやすい話をすると、
「担当者が振替伝票を起票してそのまま会計入力する」というルールの会社と
「担当者が振替伝票を起票し、一定の知識を持つ者がチェックした後に会計入力する」というルールの会社では
仕訳ミスが生じる可能性が変わってきますので、監査業務の量も変わります。
数日間(3日から一週間程度)かけて、様々な観点でこのようなチェックを行います。

この予備調査で発見された改善事項を改善するのが「改善期間」です。
これまで会計監査を受けていない社会福祉法人の場合、ほとんどのケースで何らかの改善事項が出てくるものと思われます。中には日常業務のフローを大幅に変えなければならないような場合もありますので、この改善期間は十分に余裕を見ておく必要があります。

ここで必要な改善をしないと、
会計監査人候補者が辞退して監査契約を締結することができないか、
会計監査人のリスクと手間が増えるため監査報酬が高くなります。

私の関与しておりますアルテ監査法人では、
予備調査と改善をしっかりと行って、
会計監査人導入後の監査を効率的に行うことで、結果として監査報酬を低くする
というアプローチを推奨しています。
社会福祉法人の会計監査についてもお気軽にご相談ください。

また、会計監査の効率的な受け方については、下記の書籍も参考にしてください。